2001年8月27日

新ルールについて

 一部(関東学生など)では2001年の9月から、遅いところでも2002年4月から新ルール(11本5セットマッチ、サービス2本交替制)が導入されます。それに付随して、サービスのルールも改定される予定です。こちらはあくまで予定ですが、そうとう濃いラインとして、身体の前でインパクトすることが義務付けられそうです。実質的にはハンドハイドサービスの全面禁止となるでしょう。この2つの改定を軸とした今回の新ルールでの闘い方を考えてみたいと思います。

 どちらがハードなルールなのか

 今回のルール改正は、スピーディーなゲーム展開、迫力のあるわかりやすいラリー中心のゲーム、など、主に観客を視野に入れた改正となっています。ではこれは選手にはどのように影響するのでしょうか。

 21本3セットでは各セット21−19(つまり、デュースにならない範囲での一番の接戦)でフルセットとなった場合、合計40*3で120回のラリーを行なう必要があります。一方新ルールでは11−9でフルセットになった場合20*5=100回のラリーとなります。では、新ルールのほうが1試合の負担としては若干楽なのでしょうか? 実は話はそう簡単ではありません。

   まず、実戦をやってみたところ、感覚的にははっきり新ルールのほうがきついと感じました。その印象を列挙しますと、

・ しんどい
・ 各上相手に勝ちやすい
・ 各下相手に取りこぼしやすい。
・ 11−3など、圧倒的なスコアの差を作りにくい。

 となりました。11本であることに加え、サービスが2本交替であることがその傾向に拍車をかけます。

 サービスが2本交替だと、ありうるのは

1) サーバーが2本取る
2) レシーバーが2本取る
3) 1本づつ分け合う

 となります。

 一方サービスが5本交替だと事情は複雑で

1) サーバー(レシーバー)が5本取る。5−0
2) サーバー(レシーバー)が4本取る。4−1
3) サーバー(レシーバー)が3本取る。3−2  

 となります。

 21本制においては3)3−2というスコア差になる確立が非常に高いです。ただし、実力差があれば、サービスをもったときはもちろん、レシーブ側でも3点取ることはさほど困難ではありません。一方で11本制においては3)の、1本づつ分け合うことが多くなるでしょう。相当の実力差がない限り、たとえサービスを持っても2本連取することはそうたやすくはない。いわんや実力が拮抗している2人であれば、そう簡単に2本連取はさせないでしょう。そうなると必然的に1−1というスコアで移行する可能性が高い。

 21本制では実力差のある者が対戦すると、

3−2、6−4、9−6、12−8、15−10、18−12、21−14

 というモデルが想定されます。圧勝ですね。一方、11本制では書くまでもありませんが、同点で推移する可能性が高いでしょう。仮に実力者側が自分のサービスの時に限って、3回に1回2本連取(相手のサービスはすべて1−1とする)し、それ以外は1−1でわける、というモデルを作ってみましょう。

1−1、 2−2、 4−2、 5−3、 6−4、 7−5、 8−6、 9−7、 10−8、11−9

  3回に1回2本連取、というのはなかなか好調(他をすべて1−1で行く、というのもなかなかたいへんですから)なのですが、この場合、11本で試合が終わってしまうことにより、おそろしく僅差のまま試合が終わってしまい、ほとんど結果には差はつかないのです。およそ考え得る最高に順当なケースを想定しても11−8程度でしょう。これ以上はやはり相当の実力差、あるいは「あきらめ」がないと開きようがない。

 となるとどうなるか。実力上位者が順当に勝った場合、21本制で必要なラリー回数は(21+14)*2セット=70本です。一方11本制では(11+9)*3=60本です。  その差13本。多いと考えるか少ないと考えるかは難しいところですが、たとえばサービスが5本あれば、3−1になったときに様子を見てサービスを出したりできます。しかし2本交替では1本問ったところで、抜くわけにはいきません。とくに実力上位者としては、順当にいって、1セットに5回まわってくるサービスの機会のうち、最低1回は2本連取を決めなければならないというプレッシャーがかかります。逆に何かの偶然で出足の2本を落とすと、あっというまに窮地に陥ります。これはセットにも言えることで、どうしても偶然をきっかけに落とすセットがあるわけですから、先に1セットを落とすと実力上位者としても苦しくなるわけです。順当に行っても常にプレッシャフルな状況でラリー戦を戦わなければいけない以上、私は上記の13本差よりもむしろ、11本制のハードさを重視します。また、重要な要素としてデュースがあります。単純に言って、スコアが半分なのですからデュースになる確率は倍と考えて差し支えないでしょう。これも11本制をハードなものにするでしょう。

  どのような闘い方が有効か

 以上から、

・ スコアの差が開かない→プレッシャーがかかる。
・ 遊び玉が持てない→上位者は苦しくなる。もともと遊び玉を使う余裕がなかった下位者は有利になる。
・ デュースが多くなる→ハードな闘いが長時間続く。

  ということが言えると思います。さらにサービスのルール改正(全体としてはサービスの占める割合の低下)もあり、一本一本に気の入ったラリー戦が展開することが予測されます。こうなると「様子を見る」とか「試しにこのコースへ」といった悠長なことは言っていられなくなります。「全球勝負玉」ということが求められるでしょう。

   まとめとしては、新ルールは多くのプレーヤーにとってハードになる一方で、下位者がメンタル的に非常に有利になるという側面を持っています。いままで相手に攻めこませることで勝ちを拾ってきた人も、自分で勝ちをもぎとるような闘いを一戦一戦積み重ねていくことが求められるでしょう。

 

    2001-03-21更新

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